この記事の結論

マスク氏は2026年3月10日に「来月 X Money の早期一般公開を始める」と予告しましたが、4月には広く始まらず、6月25日に米国で段階提供が始まりました。予告とその後を公式情報と報道で整理します。

結論:4月の「早期一般公開」は予告どおりには始まらなかった

2026-10-26 に事実関係を修正しました

この記事は2026年3月11日の公開時、題名で「4月ローンチ!」と書き、4月に early public access が始まることを決まったことのように伝えていました。実際には4月には広く始まらず、遅れて6月から米国で段階的に提供が始まりました。あわせて、出典を確かめられなかった記述(日本の開発チーム設立、海外展開の時期、利用者数、ベータ参加者の評価など)を削除しました。 修正にあたり、X Money の公式サイト・公式FAQ・公式アカウントの投稿と大手報道を確認し、確かめられたことだけを残しました(出典は記事末尾)。

マスク氏は2026年3月10日、X で「X Money early public access will launch next month(来月、X Money の早期一般公開を始める)」と投稿しました(Decrypt、同日)。しかし4月に一般向けの提供が広く始まったことは、公式発表・報道のどちらでも確認できません。Bloomberg は6月25日に「遅れの後、マスク氏が X の決済を利用者に広げ始めた」と報じ、同日から米国の Premium+ 利用者の一部に提供が始まりました。

3月10日の予告の中身

Decrypt(2026年3月10日)によると、マスク氏の投稿は「来月、早期一般公開を始める」という一文で、記事の時点では初期のベータテスターによる試用が一部で紹介されている段階でした。同記事は、ドージコインなど暗号資産との関わりは見当たらないとも伝えています。

「early public access(早期一般公開)」は、招待された一部のテスターだけでなく、一般の利用者が早い段階で使い始められる状態を指す言い方です。ただし、どの条件の人から使えるのか、いつ全員に広げるのかは、予告の時点では示されていませんでした。

予告からの経過(時系列)

日付出来事出典
2026年3月10日マスク氏が X で「X Money early public access will launch next month(来月、早期一般公開を始める)」と投稿Decrypt
2026年4月14日エリザベス・ウォーレン上院議員がマスク氏に書簡を送り、消費者・国家安全保障・金融システムへのリスクを指摘Decrypt
2026年4月予告された「早期一般公開」は、この時点では広く始まらなかった(6月の Bloomberg は「遅れの後に利用者を広げ始めた」と報道)Bloomberg
2026年6月25日X Money 責任者の Dhruv Batura 氏が「米国の Premium+ 利用者の一部に提供し、広い公開の前に意見を集めて問題をつぶす」と投稿Bloomberg / PYMNTS
2026年7月27日@XMoney が「米国の Premium・Premium+ 加入者へ本日から順次提供(rolling out)」と投稿Digital Trends
2026年8月31日(米国時間)@XMoney が「米国アカウントの Premium・Premium+ 加入者全員が利用できるようになった」と投稿@XMoney
2026年9月2日米国のクリエイター報酬の支払いが Stripe から X Money 経由に(米国外は Stripe のまま)TechCrunch
2026年9月下旬X の有料プランが利用の条件から外れたと報じられ、公式FAQにも無料プランの利回りが載ったDoctor of Credit / 公式FAQ
2026年10月26日(当編集部の確認)公式サイトは「米国の一部の利用者に順次提供中」、公式FAQは「米国居住者に順次提供中。使えるようになったら通知する」と案内公式サイト / 公式FAQ

PYMNTS(2026年6月26日)によると、X Money 責任者の Dhruv Batura 氏は6月25日に「本日、米国の Premium+ 利用者の一部に X Money を出す。広い公開の前に意見を集めて問題をつぶすため」と投稿しました。Bloomberg も同日、「遅れの後、マスク氏が X の決済を利用者に広げ始めた」と報じています。

同じ PYMNTS の記事は、X が公開した紹介動画の内容として、日々の支払い・貯蓄・送金のための口座、ATM 引き出し無料・海外事務手数料なしのメタル製 Visa デビットカード、家賃の支払いや電信送金・小切手の郵送、最低残高なしで利息が付くこと、パスキーでの保護、最大1,000万ドルまで FDIC 保険の対象になるキャッシュ・スイープを挙げています。

現在の提供状況と利用条件(2026年10月26日確認)

2026年10月26日に当編集部が確認した時点で、X Money 公式サイトは「Rolling out to select users in the United States(米国の一部の利用者に順次提供中)」、「18歳以上の米国の一部の利用者が利用できる。より多くの人へ広げるよう取り組んでいる」と案内しています。公式FAQも「米国居住者に順次提供中で、使えるようになったらアカウントに通知する」としています。つまり米国でも全員が一斉に使える状態ではなく、「全米開放」と言える公式発表は確認できません。

利用の条件(公式FAQ)は、18歳以上・米国居住・認証済みの米国の電話番号・良好な状態の X アカウント・口座開設書類への同意です。米国の金融規制に基づく本人確認のため、氏名・社会保障番号(SSN)・住所の提出も求められます。

公式FAQと金利表(2026年10月12日適用分)による、X の有料プラン別の主な条件です。

項目無料(旧 Premium Basic を含む)Plus(旧 Premium)Premium・Super・Ultra(旧 Premium+)
利回り(APY)4.00%、条件達成で6.00%4.00%、条件達成で6.00%6.00%
X Card のキャッシュバック1%、条件達成で3%3%3%
ATM運営会社の手数料の払い戻し1回4ドルまで・月2回まで無制限無制限
国内向け電信送金1回20ドル年2回無料、以降20ドル無料
メタルカードの発行25ドル無料無料

「条件達成」は、直近34日間に合計1,000ドル以上の適格入金(ACH で届く給与振込などの直接入金、または X のクリエイター報酬)を受け取ることです。年4.00%は利率3.92%、年6.00%は利率5.83%に当たり、どちらも変動制でいつでも変わり得ると金利表に書かれています。ニューヨーク州の居住者には利息が付かず、代わりに90日以内に3,000ドルの適格入金を受け取ると300ドルのボーナスが出る制度が案内されています。

カード・送金・預金の保護

公式FAQによると、口座を開くとバーチャルの X Card(Visa のデビットカード)が自動で発行され、物理カード(メタルカード)も注文できます。Apple Pay・Google Pay などに登録でき、カード決済に海外事務手数料はかかりません(外貨は米ドルに換算され、為替レートは適用されます)。X の利用者同士の送金は手数料・上限なし、給与の直接入金は最大2日早く受け取れ、電信送金・小切手の郵送・請求書の支払いもアプリ内でできます。即時出金には1.75%(最低0.25ドル)の手数料がかかります。

X Money を運営する X Payments LLC は銀行ではありません。公式サイトによると、預金は Cross River Bank(FDIC 加盟行)などに置かれ、通常の上限は25万ドルです。預金は自動で「キャッシュ・スイープ・プログラム」に入り、複数の FDIC 加盟行に振り分けることで合計最大1,000万ドルまで預金保険の対象になるとされています。ただし公式サイトは「預金保険が適用されるには一定の条件を満たす必要がある」「預金保険が補償するのは加盟銀行の破綻だけ」とも明記しています。

規制の論点と送金業ライセンス

Decrypt によると、上院銀行委員会のエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)は2026年4月14日、マスク氏に書簡を送りました。書簡は、X の運営実績から消費者・国家安全保障・金融システムが危険にさらされるおそれがあると指摘し、消費者金融保護局(CFPB)の体制縮小、提携銀行の Cross River Bank が2018年と2023年に FDIC から執行措置を受けたこと、GENIUS 法(ステーブルコイン法)の例外規定、事前資料で示された最大6%の利回りが政策金利の誘導目標を大きく上回ることを挙げています。

X Payments の送金業ライセンス一覧(公式・2026年10月26日確認)には、47州とワシントンD.C.が載っています。ニューヨーク州のライセンスは2026年7月24日にニューヨーク州金融サービス局が発行したものです。一覧に無いのはマサチューセッツ州・モンタナ州・ウィスコンシン州です。なお公式は「一部の州では提携銀行の Cross River Bank がサービスを提供する」と説明しており、一覧に無い州では使えない、とは書いていません。X Payments は FinCEN(米財務省の金融犯罪取締ネットワーク)に送金サービス業者として登録しています。

日本で使えるか

日本からは使えません。公式FAQは「X Money は現在、米国居住者だけが利用できる」としており、日本を含む米国外での開始時期は発表されていません。「日本でも X Money で年6%」「代わりに口座を作る」といった勧誘は、現時点では日本在住者が口座を開けない以上、疑ってかかるのが安全です。

日本での状況はXマネーの日本上陸はいつ?でまとめています。

出典(当編集部が確認した一次情報・報道)

当編集部は日本から X Money を利用できないため、実際に口座を開いて試してはいません。本記事は上の公式情報と報道で確かめられたことだけをまとめています。