この記事の結論
Xは9月15日、$BTCなどのキャッシュタグから提携先で売買できる「キャッシュタグ・パートナー・プログラム」を米国で開始。提携はInteractive Brokersなど5社です。
概要:タイムラインの銘柄名から証券会社・取引所へ
X(旧Twitter)は2026年9月15日、企業向け公式アカウント「@XBusiness」で、米国向けのキャッシュタグ・パートナー・プログラム(Cashtag Partner Program)を発表しました。キャッシュタグは「$AAPL」「$BTC」のように銘柄の記号の前に$を付けた表記で、これをタップすると価格チャートと関連する投稿が表示され、その下の「取引(Trade)」ボタンから提携する証券会社・暗号資産取引所に移動できます。
開始時点の提携先は、Interactive Brokers、Moomoo、Gemini、Kraken、Coinbaseの5社です。対象は株式、ETF(上場投資信託)、暗号資産で、提供は米国の利用者に限られます。暗号資産メディアUnchainedは9月22日付で「機能はすでに稼働している」と報じています。
日本の利用者への影響:発表は米国ユーザー向けで、日本での提供予定は示されていません。日本からは現時点でこの取引ボタン経由の売買はできないと考えるのが妥当です。また、後述のとおりこの仕組みはX Moneyの口座や残高を通らないため、X Moneyの提供状況とは別に考える必要があります。
仕組み:Xは売買しない「送客役」
利用の流れは次のとおりです。
- X上で対応するキャッシュタグを検索またはタップする
- X内で価格チャートと関連投稿を確認する
- 「取引(Trade)」を選び、提携先の中から1社を選ぶ
- 提携先のアプリまたはWebサイトに移動し、ログイン(未開設なら口座開設)して注文する
Crowdfund Insiderによると、注文の執行、決済、資産の保管はすべて提携先が行い、Xは資金を預からず注文も処理しません。本人確認(KYC)や入金、注文入力も選んだ提携先で行います。取引メニューには、選んだ銘柄を扱える提携先だけが表示されるとしています。Unchainedは、Xは対応銘柄の全リストを公表していないと伝えています。
Unchainedは、Xが自ら売買を仲介せず送客にとどめることで、証券会社(ブローカー・ディーラー)としての規制負担を負わずに投資家の関心を取り込める設計だと分析しています。Xの製品エンジニアリング責任者Mridul Singhai氏は、この機能を「タイムライン上の銘柄と市場そのものとの距離を縮めるもの」と説明しています。
提携5社それぞれの対応範囲
提携先ごとに対応範囲が異なります。報道と各社の発表で確認できた内容は次のとおりです。
| 提携先 | 主な対象 | 確認できた内容 |
|---|---|---|
| Interactive Brokers | 株式・暗号資産 | 9月15日に連携を発表。キャッシュタグ経由で口座を開設し入金した米国の新規顧客に100ドルを付与 |
| Moomoo | 株式 | Unchainedは、Interactive BrokersとともにMoomooが株式側を担うと報道 |
| Gemini | 株式と暗号資産5銘柄 | ZEC、HYPE、BTC、ETH、SOLの5銘柄を明示 |
| Kraken | 暗号資産 | 米国の利用者は暗号資産のキャッシュタグならどれでもKrakenに移動できると説明 |
| Coinbase | 報道・発表で明示なし | 開始時点の提携先5社の1社。対応範囲の詳細は確認できず |
Interactive Brokersの発表では、同社の最高マーケティング責任者Tamara Makonnen氏が「Xは多くの投資家が速報に触れ、意見を交わす場所だ」と述べました。同じ発表の中で、SpaceXAIのグローバル広告責任者Monique Pintarelli氏は「キャッシュタグの提携先によって、発見や会話から証券口座へ、その瞬間を途切れさせずに移れるようになる」とコメントしています。
X Moneyとの関係:資金はX Moneyを通らない
一部の海外メディアは今回の機能を「X Moneyの新機能」として報じていますが、発表内容から見ると、売買の資金はX Moneyの口座ではなく各提携先の口座で扱われます。X Moneyは、X Payments LLCが提供し、預金をCross River Bank(連邦預金保険公社FDICの加盟銀行)に置く決済・預金サービスで、株式や暗号資産の売買機能は公式FAQに記載されていません。
一方で、今回の動きがXの金融分野への拡大の一部であることは確かです。Unchainedは、Xが2026年4月にキャッシュタグを価格チャートやリアルタイムデータを表示するページに刷新しており、当時の製品責任者Nikita Bier氏がアプリを離れずに取引できるリンクをいずれ加えると述べていたと伝えています。また、旧Twitter時代の2023年4月にも、eToroと組んでキャッシュタグから外部の取引サービスに誘導した前例があるとしています。
送金・預金のX Moneyと、投資への送客を担うキャッシュタグは、現時点では別々の仕組みです。X Moneyの残高から直接提携先へ入金できるといった連携は発表されていません。両者が将来つながるかどうかは、今後の発表を待つ必要があります。
日本の利用者にとっての意味
日本の利用者にとって、今回の機能はすぐに使えるものではありません。提供は米国の利用者に限られ、Xは他の国・地域への拡大時期を発表していません。X Money自体も米国居住者専用のままです。
ただ、日本でも米国株や暗号資産の情報源としてXを使う人は多く、将来この仕組みが日本に広がれば、投稿を読んでからワンタップで証券口座に移る流れが生まれる可能性があります(現時点では推測です)。その場合も、実際の売買は提携先の証券会社・取引所の規約と手数料のもとで行われ、Xが取引を保証するわけではない点は変わらないと考えられます。
注意したいのは、話題に便乗した偽の勧誘です。「Xの取引ボタンから買える特別な銘柄」「X公認の投資サービス」といった触れ込みで外部サイトに誘導する投稿やメッセージは、今回の公式プログラムとは無関係の可能性が高いといえます。公式の提携先は発表時点で上記の5社であり、Xは自ら資金を預からないとされています。
出典
- X Business(@XBusiness)の投稿:X launches US Cashtag Program with brokerage partners(2026年9月15日)
- FX News Group:Interactive Brokers integrates with X Cashtags(2026年9月15日、Interactive Brokersの発表を掲載)
- Crowdfund Insider:Elon Musk's X Money Connects Cashtags to Brokerages and Crypto Exchanges(2026年9月17日)
- Unchained:X Adds a Trade Button to Cashtags, Routing US Users to Coinbase, Kraken and Gemini(2026年9月22日)
- X Money FAQ(X Payments LLC、2026年9月27日閲覧)