この記事の結論
2026年8月10日時点の X Money は、米国の有料プラン加入者への順次提供の途中でした。6%の利回り・預金保険の条件と、ウォーレン上院議員の指摘を公式情報と報道で整理します。
公開日(8月10日)時点:「全米展開」ではなく有料プラン加入者への順次提供
2026-10-26 に事実関係を修正しました
この記事は公開時、題名や本文で「全米展開」「本格展開」などと書き、X Money が米国で広く使えるようになったかのように伝えていました。実際に7月27日に @XMoney が発表したのは米国の Premium・Premium+ 加入者への「順次提供(rolling out)」で、加入者全員が対象になったと投稿したのは米国時間の8月31日です。あわせて、州の数・対象外の州・カードの仕様・利用者数などのうち、公式情報と合わないもの、確かめられないものを削除・修正しました。 修正にあたり、X Money の公式サイト・公式FAQ・公式アカウントの投稿と大手報道を確認し、確かめられたことだけを残しました(出典は記事末尾)。
7月27日に @XMoney が発表したのは、米国の Premium・Premium+ 加入者へ「本日から順次提供(rolling out)」することでした(Digital Trends)。招待制が終わって全米の全員に開かれた、という公式発表はありません。この記事では、提供の範囲と条件、議会からの指摘を公式情報で確かめられる範囲でまとめます。
7月27日の発表は「順次提供」、加入者全員が対象になったのは8月31日
2026年7月27日、X Money 公式アカウント(@XMoney)は「𝕏 Money is rolling out to U.S. Premium and Premium+ subscribers starting today(米国の Premium・Premium+ 加入者へ本日から順次提供)」と投稿しました(Digital Trends が同日に引用)。「rolling out」は順番に広げていくという意味で、この時点で対象の加入者全員がすぐ使えるとは書かれていません。対象の加入者全員が使えるようになったと @XMoney が投稿したのは、米国時間の8月31日です。
米国時間2026年8月31日、@XMoney は「𝕏 Money is now available to all Premium and Premium+ subscribers with U.S. accounts(米国アカウントの Premium・Premium+ 加入者全員が利用できるようになった)」と投稿し、サイドバーの「Money」タブから始めるよう案内しました。これは「米国の有料プラン加入者」が対象で、X の利用者全員ではありません。その後、9月下旬に有料プランは条件から外れましたが(Doctor of Credit の9月23日の更新・公式FAQ)、公式サイトは10月26日時点でも「米国の一部の利用者に順次提供中」としています。
利回り・キャッシュバックの条件(公式FAQ)
公開日(2026年8月10日)当時は、X の Premium・Premium+ 加入者が対象でした(@XMoney の7月27日・8月31日の投稿)。現在の条件は次のとおりです。
公式FAQと金利表(2026年10月12日適用分)による、X の有料プラン別の主な条件です。
| 項目 | 無料(旧 Premium Basic を含む) | Plus(旧 Premium) | Premium・Super・Ultra(旧 Premium+) |
|---|---|---|---|
| 利回り(APY) | 4.00%、条件達成で6.00% | 4.00%、条件達成で6.00% | 6.00% |
| X Card のキャッシュバック | 1%、条件達成で3% | 3% | 3% |
| ATM運営会社の手数料の払い戻し | 1回4ドルまで・月2回まで | 無制限 | 無制限 |
| 国内向け電信送金 | 1回20ドル | 年2回無料、以降20ドル | 無料 |
| メタルカードの発行 | 25ドル | 無料 | 無料 |
「条件達成」は、直近34日間に合計1,000ドル以上の適格入金(ACH で届く給与振込などの直接入金、または X のクリエイター報酬)を受け取ることです。年4.00%は利率3.92%、年6.00%は利率5.83%に当たり、どちらも変動制でいつでも変わり得ると金利表に書かれています。ニューヨーク州の居住者には利息が付かず、代わりに90日以内に3,000ドルの適格入金を受け取ると300ドルのボーナスが出る制度が案内されています。
銀行パートナーと預金の保護
X Money を運営する X Payments LLC は銀行ではありません。公式サイトによると、預金は Cross River Bank(FDIC 加盟行)などに置かれ、通常の上限は25万ドルです。預金は自動で「キャッシュ・スイープ・プログラム」に入り、複数の FDIC 加盟行に振り分けることで合計最大1,000万ドルまで預金保険の対象になるとされています。ただし公式サイトは「預金保険が適用されるには一定の条件を満たす必要がある」「預金保険が補償するのは加盟銀行の破綻だけ」とも明記しています。
議会からの指摘
Decrypt によると、上院銀行委員会のエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)は2026年4月14日、マスク氏に書簡を送りました。書簡は、X の運営実績から消費者・国家安全保障・金融システムが危険にさらされるおそれがあると指摘し、消費者金融保護局(CFPB)の体制縮小、提携銀行の Cross River Bank が2018年と2023年に FDIC から執行措置を受けたこと、GENIUS 法(ステーブルコイン法)の例外規定、事前資料で示された最大6%の利回りが政策金利の誘導目標を大きく上回ることを挙げています。
送金業ライセンスの範囲
X Payments の送金業ライセンス一覧(公式・2026年10月26日確認)には、47州とワシントンD.C.が載っています。ニューヨーク州のライセンスは2026年7月24日にニューヨーク州金融サービス局が発行したものです。一覧に無いのはマサチューセッツ州・モンタナ州・ウィスコンシン州です。なお公式は「一部の州では提携銀行の Cross River Bank がサービスを提供する」と説明しており、一覧に無い州では使えない、とは書いていません。X Payments は FinCEN(米財務省の金融犯罪取締ネットワーク)に送金サービス業者として登録しています。
X Card(Visa デビット)と送金機能
公式FAQによると、口座を開くとバーチャルの X Card(Visa のデビットカード)が自動で発行され、物理カード(メタルカード)も注文できます。Apple Pay・Google Pay などに登録でき、カード決済に海外事務手数料はかかりません(外貨は米ドルに換算され、為替レートは適用されます)。X の利用者同士の送金は手数料・上限なし、給与の直接入金は最大2日早く受け取れ、電信送金・小切手の郵送・請求書の支払いもアプリ内でできます。即時出金には1.75%(最低0.25ドル)の手数料がかかります。
提供開始までの経緯(時系列)
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年3月10日 | マスク氏が X で「X Money early public access will launch next month(来月、早期一般公開を始める)」と投稿 | Decrypt |
| 2026年4月14日 | エリザベス・ウォーレン上院議員がマスク氏に書簡を送り、消費者・国家安全保障・金融システムへのリスクを指摘 | Decrypt |
| 2026年4月 | 予告された「早期一般公開」は、この時点では広く始まらなかった(6月の Bloomberg は「遅れの後に利用者を広げ始めた」と報道) | Bloomberg |
| 2026年6月25日 | X Money 責任者の Dhruv Batura 氏が「米国の Premium+ 利用者の一部に提供し、広い公開の前に意見を集めて問題をつぶす」と投稿 | Bloomberg / PYMNTS |
| 2026年7月27日 | @XMoney が「米国の Premium・Premium+ 加入者へ本日から順次提供(rolling out)」と投稿 | Digital Trends |
| 2026年8月31日(米国時間) | @XMoney が「米国アカウントの Premium・Premium+ 加入者全員が利用できるようになった」と投稿 | @XMoney |
| 2026年9月2日 | 米国のクリエイター報酬の支払いが Stripe から X Money 経由に(米国外は Stripe のまま) | TechCrunch |
| 2026年9月下旬 | X の有料プランが利用の条件から外れたと報じられ、公式FAQにも無料プランの利回りが載った | Doctor of Credit / 公式FAQ |
| 2026年10月26日(当編集部の確認) | 公式サイトは「米国の一部の利用者に順次提供中」、公式FAQは「米国居住者に順次提供中。使えるようになったら通知する」と案内 | 公式サイト / 公式FAQ |
現在の提供状況(2026年10月26日確認)
2026年10月26日に当編集部が確認した時点で、X Money 公式サイトは「Rolling out to select users in the United States(米国の一部の利用者に順次提供中)」、「18歳以上の米国の一部の利用者が利用できる。より多くの人へ広げるよう取り組んでいる」と案内しています。公式FAQも「米国居住者に順次提供中で、使えるようになったらアカウントに通知する」としています。つまり米国でも全員が一斉に使える状態ではなく、「全米開放」と言える公式発表は確認できません。
利用の条件(公式FAQ)は、18歳以上・米国居住・認証済みの米国の電話番号・良好な状態の X アカウント・口座開設書類への同意です。米国の金融規制に基づく本人確認のため、氏名・社会保障番号(SSN)・住所の提出も求められます。
日本で使えるか
日本からは使えません。公式FAQは「X Money は現在、米国居住者だけが利用できる」としており、日本を含む米国外での開始時期は発表されていません。「日本でも X Money で年6%」「代わりに口座を作る」といった勧誘は、現時点では日本在住者が口座を開けない以上、疑ってかかるのが安全です。
出典(当編集部が確認した一次情報・報道)
- X Money 公式サイト(money.x.com、2026年10月26日閲覧)
- X Money FAQ(X Payments LLC、2026年10月26日閲覧)
- X Money Stored Value Account Rates(金利表・2026年10月12日適用分、2026年10月26日閲覧)
- X Payments Money Transmitter Licenses(送金業ライセンス一覧、2026年10月26日閲覧)
- Decrypt「Elon Musk’s X Money App Nears Public Launch, No Sign of Dogecoin」(2026年3月10日)
- Decrypt「Elizabeth Warren Warns Elon Musk’s X Money Threatens ‘Stability of the Financial System’」(2026年4月15日)
- Bloomberg「Musk Starts Expanding X Payments to More Users After Delay」(2026年6月25日、Bloomberg Law 掲載)
- PYMNTS「X Opens X Money to Premium Subscribers Ahead of Broader Launch」(2026年6月26日)
- Digital Trends「X Money is finally here and it’s much more than a digital wallet」(2026年7月27日。同日の @XMoney の投稿を引用)
- X Money 公式アカウント(@XMoney)の投稿(米国時間2026年8月31日)
- Doctor of Credit「X Money Review」(2026年9月23日の更新で「X Premium不要」と追記)
当編集部は日本から X Money を利用できないため、実際に口座を開いて試してはいません。本記事は上の公式情報と報道で確かめられたことだけをまとめています。